小売業向けソリューション

真の DX を通じて、わくわくする未来のリテーラーへと変革するために、Google Cloud は 8 つの経営テーマを解決する小売業向けソリューションを提供します。

[ 本社編 ]
1 - データドリブンによるビジネス変革
2 - コスト構造の再編成による新たな経営基盤
3 - バックエンドのデジタルシフト

[ 店舗編 ]
4 - 次世代デジタル サービスの店舗導入
5 - AI / 機械学習テクノロジーの店舗活用

[ 顧客編 ]
6 - デジタル活用で顧客への真の価値提供
7 - 顧客起点発想の商品開発

[ 物流(倉庫)編 ]
8 - エンド ツー エンドの デジタル サプライ チェーン



データ ドリブンによるビジネス変革

企業には、基幹系システム、業務システムなどの多種多様なシステムがあり、そこから生成されるデータをより早く、より上手く活用することがデータ ドリブンのビジネスを進める上で最も重要です。Google Cloud を活用することで、データ活用を推進する上で最大の課題となるデータのサイロ化を解消することができます。また、 Google Cloud 上に用意されたデータ活用のためのエコ システムにより、経営層から現場社員、店舗に至るまで、リアルタイムなデータを起点とした可視化と意思決定が容易になります。データの分析と可視化された結果は、API を通じて社内外のアプリケーションと連携することが可能となります。データを駆使したビジネス スピードが加速され、グループ内や取引先とのセキュアなデータ連携で商圏内ビジネスの変革につながります。

解決する課題・使い所

データ ドリブン ビジネスを推進する上で、既存のデータ システムで起こりがちな典型的な課題を解決します。

  • 業務や部門、システムごとにデータ環境が乱立している。また、乱立したデータ環境のオーナー シップが明確でなかったり、管理ルールが異なっているため、どこにどのようなデータがあるかが不透明で、必要なデータに容易にアクセスできない。

  • 経営層、現場社員、店舗スタッフや、さまざまなステーク ホルダーが、それぞれの業務で必要とするデータが常に最新の状態ではない。データシステム上で役職に合わせた適切な権限管理が行われていない。

  • グループの関係会社や取引先とセキュアにデータをやり取りする方法がない。  

アーキテクチャ

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オンプレミス上にある基幹系システムや業務システムのデータを、Cloud Interconnect を経由して接続することで、インターネットを経由することなく Google Cloud に接続することができます。リアルタイム性が必要となるデータは、メッセージとして Pub/Sub を経由し、Dataflow による基本的なビジネス ロジックの確認を経て、トランザクション データが Cloud Spanner に投入されます。アナリティクスのためのデータは、BigQuery に投入します。データが構造化データのみの場合、生データを BigQuery に保存し、データレイクとして利用するという構成も可能です。

一方、非構造化データがある場合に備えて、Cloud Storage をデータレイクとして生データを保存する構成を取ることもできるので、取り扱うデータに合わせて柔軟に構成を検討することが可能です。分析結果は、ビジネス インテリジェンス(BI)ソフトウェアである Looker を経由して分析者に提供します。また、Apigee を用いて統一的な API 層を構築し、外部システムとの連携はすべてAPI 層を経由することで、外部システムとの柔軟で拡張性のある連携を実現できます。関係会社とデータを共有したい場合、Analytics Hub を利用します。BigQuery 上の任意のデータセットをセキュアに共有することが可能となります。

利点

  • 組織のあらゆる場面で発生するデータを収集し、利用可能にするまでの時間を短くすることで、リアルタイム性の高いデータ基盤を構築できます。

  • 本部や店舗など、さまざまなロケーションから可視化と分析結果を利用し、ビジネス活動にデータを活用することができます。

  • グループ内外とのセキュアなデータ連携や、API を通じたサービス間連携により、データを活用した新規サービスの構築を容易にします。

  • マネージド サービスで完結するため、すぐに作業を開始することができ、インフラの管理コストを低減できます。

  • データ処理を担う BigQuery、Cloud Spanner や Dataflow は、高いスケーラビリティを有するため、小規模なデータから大規模なデータまでを同一の構成でカバーすることができます。

注意事項

  • データ基盤の中核を担う BigQuery と Cloud Spanner に、どのようなデータを格納するのかを検討する必要があります。API 経由で外部サービスと連携するデータは Cloud Spanner に、分析のために利用するデータは BigQuery に格納する必要があります。ユースケースによっては、BigQuery にも Cloud Spanner にも、同じデータを格納しなければならないケースもあります。

  • BigQuery や Spanner へのデータ投入前のデータ整形(Dataflow 上でのデータ整形処理)とデータ投入後のデータの整形(クエリのスケジューリングを利用した BigQuery 上でのデータ整形)のバランスを見極める必要があります。BigQuery 上のデータ処理は、BigQuery で完結させることがデータ パイプライン全体として最もパフォーマンスが高くなります。BigQuery で実現できる処理は、可能な限り BigQuery 上で行うという原則を遵守することが重要です。  

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参考文献



2 - コスト構造の再編成による新たな経営基盤

高コストで硬直化したシステムが、構造改革を進めるうえで阻害要因になるケースが多くあります。特にハードウェアの管理、および運用コストは、人とお金の両面で企業にとって無視できません。また、ミッション クリティカルな業務システムは、簡単に停止することができないので、高可用性や耐障害性が求められます。COVID-19 により不透明な経営環境が続くなか、クラウド テクノロジーの活用が、従来型システムのコスト構造の改革推進に役立ちます。削減できたコストを、業務システムのデータを利用した分析や機械学習といった技術にかけることで、守りのコストを攻めのコストに転換することができます。

解決する課題・使い所

コスト最適化

  • クラウドを利用するとマシンの稼働のオン / オフが簡単にできるため、開発機・検証機など、常時稼働の必要がないマシンを停止しておくことで、コストの最適化を実現できます。

  • データ分析に時間とコストをかけることで、企業の利益追求に集中できます。  

ハードウェアの保守切れ対応

  • ハードウェアの保守切れが存在しないため、数年ごとに発生するハードウェアのリプレイス、およびそれに伴うアプリケーションのテストに膨大な工数が割かれることがなくなり、本来 IT 部門が担う役割に注力できます。 

災害対策

  • グローバルに存在するデータセンターを利用することで、災害対策に対応したシステムが構築できます。 

アーキテクチャ

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  • 日本国内で、高可用性、および耐障害性を考慮したアーキテクチャです。
  • Google Cloud を利用することで、全世界をカバーする 1 つの VPC を作ることができます。これは、各リージョンごとにサブネットを作ることができるという意味です。従来型の VPC では、リージョン間をまたぐ通信をしようとすると、一度インターネットを経由する必要がありますが、Google Cloud ではサブネットを 2 つ作るだけで、リージョン間をまたいだプライベート ネットワークを作ることができます。また、専用線は 1 本だけで単一のネットワーク空間を提供し、リージョン間通信も Google Cloud 網の中で実現できます。 
  • リージョン間の耐障害性については、アプリケーション レイヤー、ファイルストア レイヤー、データベース レイヤーで異なる方法を利用しています。
    • アプリケーション レイヤー:リージョン永続ディスクを用いたスナップショットの取得(リージョン永続ディスクは、同一リージョン内の 2 つのゾーンにまたがって使用できるため、データの耐久性や可用性がより高くなります。)
    • ファイルストア レイヤー:SAP の非同期レプリケーションを利用して、複数のリージョン間で Cold standby 構成の SAP を非同期連携します。
    • ファイルストア レイヤー:SAP の非同期レプリケーションを利用して、複数のリージョン間で Cold standby 構成の SAP を非同期連携します。
  • ゾーン間の高可用性については、Google Cloud の低レイテンシ ネットワークによって、SAP の sync モードを利用して実現します。

  • BigQuery と基幹系システムのセキュアな接続により、機密情報を安全な環境で分析に利用することができます。 

 利点

  • 大規模仮想マシンによるインメモリ データベースの稼働

  • Live Migration 機能によるシステムのゼロダウンタイム メンテナンスを実現

  • リージョン間をまたいだプライベートな VPC の作成によるセキュアな環境

  • ゾーン間の低いレイテンシによる同期処理を利用した HA の実現

  • カスタムマシン タイプによるビジネス変化への柔軟性の高い基盤の実現

  • 基幹系システムのデータを活用した企業の利益追求 

注意事項

  • ゾーン間のレイテンシについては、データ量にも依存するため、環境ごとに計測する必要があります。 

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参考文献



3 - バックエンドのデジタル シフト

社会情勢の変化、多様化する顧客ニーズへの対応など、小売業を取り巻く環境は変化の激しい状況にあります。大規模なレガシー資産が足かせになり DX が進められない状況から、早期に脱却することが顧客の支持につながります。その実現には、新しいテクノロジーを活用して、バックエンドのデジタル シフトを進めることが重要になります。

解決する課題・使い所

多様化する顧客のニーズへの対応や、デジタル化の促進といった経営環境の変化に追随する柔軟性が高くアジリティの高いバックエンド システムを構築 

  • 高コストで経営リスクにもつながるベンダー ロックインから脱却したい。

  • ビジネス変化に即した変化対応力の高いシステムを実現したい。 

アーキテクチャ

Google Cloud のオープン テクノロジーにより、バックエンドのレガシー環境のデジタル シフトを実現します。

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開発リソースの不足や長時間のサービス停止ができないシステム全体を、一気に Google Cloud へ移行する場合に効果的なアーキテクチャです。 インターネットからのアクセスの入口に Apigee APIを配置することで、システムのインターフェース仕様を統一します。レガシー API を使う場合にはオンプレミス環境につなぎ、クラウド ネイティブで作成した新しい API は Google Cloud につなぎます。対向システムとのインターフェースは Open API(Apigee API)で統一することで、バックエンドは後からでも自由に変更することができます。このように、システム全体を Google Cloud に、段階的、安定的に移行することができます。 

  • Apigee ハイブリッドを使用することで、API をホストする場所(オンプレミス、Google Cloud、ハイブリッド)を選択できます。ランタイムを管理、制御することで、ゲートウェイを API トラフィックの近くに配置して、既存のコンプライアンス、ガバナンス、セキュリティ インフラストラクチャを利用することができます。
  • Apigee Integration を使用して、API 管理と統合の最良の方法を、クラウド ネイティブ アーキテクチャの原則を活用した統合プラットフォームにまとめることで、企業の IT チームが事業を拡大し、デベロッパーのスピードを加速して、市場投入までの時間を短縮できるようになります。 
  • マイクロ サービスのサービス管理と同様に、API に対する管理も必要です。Apigee API 管理プラットフォームは、API 管理をマイクロ サービス スタックにネイティブに拡張することで Istio と Envoy を補完します。 

利点

レガシー システムのマイグレーションを迅速に実現することで、システムのモダナイゼーションを加速することが可能

  • レガシーシステムを API 連携することで、システム間の依存関係を緩めます。サブシステムごとのモダナイゼーションを実現可能にし、新しいビジネスに取り組む上で既存システムが足かせになることを防げます。

  • システム構造のブラック ボックス化を解消し、オープンな環境へ移行することで、アジリティが高まります。  

注意事項

オンプレミス環境で Apigee を使うためには、Apigee ハイブリッドを使う必要があります。 

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4 - 次世代デジタル サービスの店舗導入

次世代端末や AI、センサーなどの新たなテクノロジーを導入することで、店舗システムの固定化された構造(モノリシック)をスマート化したり、個店ごとに最適化したりといったことが実現可能となり、顧客へのより魅力的な体験や付加価値を提供できるようになります。従業員に対しても、未来の働き方を支援するために役立つ、継続的な進化が可能なプラットフォームを構築できます。

解決する課題・使い所

デジタル ネイティブな世代に対する価値訴求と店舗体験の継続的な進化

  • 顧客の体験価値を高めるため店舗を継続的に進化させたい。
  • 個店の特色を出すために店舗フォーマットを細分化したい。
  • さまざまな最新テクノロジーを柔軟に導入していきたい。
  • デジタル ネイティブな世代の働き方を支援したい。

アーキテクチャ

店舗アプリケーションの柔軟な導入を支えるマイクロ サービス基盤と、オンプレミス環境との併存を実現する基盤を提供します。  

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 Anthos によって、クラウドとオンプレミスの両方の Google Kubernetes Engine(GKE)を一括で管理し、トラフィックの制御を行うことができます。同時に、オフライン店舗などで生成されたデータを、Google Cloud の Vertex AI で分析することで、オフライン店舗のための自動発注、および短期間での商品開発サイクルをサポートします。Anthos を用いることで、オンプレミス、または他社クラウドに蓄積されているデータを Google Cloud の AI / ML 基盤で有効に活用し、必要なタイミングで必要なものを店舗に配置することができます。

  • Anthos の一部として Kubernetes クラスタと連携する統合された方法を提供し、GKE を拡張して複数の環境で作業できるようにします。Anthos、Google Cloud(従来の GKE)、ハイブリッド クラウド、または複数のパブリック クラウドのいずれを使用している場合でも、整合性があり、統一された、安全なインフラストラクチャ、クラスタ、コンテナ管理を利用できます。

  • Anthos clusters on VMware(GKE On-Prem)は、GKE をオンプレミスのデータセンターに提供するソフトウェアです。

  • Vertex AI は、カスタム モデル化に必要なコードの行数を 80% 削減し、より多くのモデルを高速にデプロイすることができます。

  • Vertex AI Workbench を使用することで、BigQuery、Dataproc、Spark とネイティブに統合された開発環境を利用できます。

利点

マイクロ サービスへの移行による店舗デジタル サービスの柔軟な導入の実現

  •  マイクロ サービス:店舗デジタル サービスの CI / CD による新鮮な顧客体験価値や働き方の提供、および個店特性に応じた店舗アプリケーションの組み合わせを実現します。

  • オンプレミスとクラウド環境を併存させる、ハイブリッド クラウドを実現します。

注意事項

  • Google Cloud とオンプレミスの GKE を一元管理するためには、GKE On-Prem コンポーネントが必要です。(コア コンポーネント

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5 - AI / 機械学習(ML)テクノロジーの店舗活用

店舗の人手不足を解消するためには、最新テクノロジーを活用した店舗業務の省力化が重要です。顧客に支持される棚割りや特価商品の選定、店舗スタッフのシフトや商品補充の最適化などを、Google Cloud の AI / ML サービスが支援します。また AI / ML の効果を最大限に発揮するためには、データの収集と活用が必須です。Google Cloud のデータ分析ソリューションは、Google Cloud やサードパーティの AI / ML サービスとシームレスに接続できるだけではなく、Google の広告プロダクトと連携し、集客につなげることで収益最大化にも貢献します。

解決する課題・使い所

店舗業務の省力化と収益最大化の両立

  • 効果的なマーケティング活動によって集客を行い店舗を活性化したい。

  • 状況に合わせた最適な棚割りや商品の値付けをしたい。

  • シフトや商品補充業務の最適化から店舗スタッフの働き方改革までを推進し、省力化と収益向上を両立したい。  

アーキテクチャ

内部データ / 外部データの収集や、AI / ML を活用した店舗業務の最適化と集客促進を実行する基盤を提供します。 

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データの取り込み

AI / ML を活用するためには、元となるデータの蓄積が必要です。対象となるデータは、主に POS の情報や在庫情報といった個店が持つ内部データと、店舗周辺の物理的な環境情報や人々の趣味や興味の傾向のような外部データです。

これらのデータを Google Cloud に取り込む方法として、リアルタイムなデータの収集、およびバッチによるデータの定期的な収集の 2 つの方法があります。

Pub/Sub と Dataflow を使うことで、リアルタイムにデータを取り込むことができます。Pub/Sub と Dataflow はネイティブに統合されているため、信頼性が高く、高機能な Exactly-once 処理と、Java、Python、SQL でのイベント ストリームの統合が可能になります。リアルタイムにデータを収集することで、カスタマーのインサイトを即座に活用することができます。

外部データの収集を行うには、定期的なバッチ インポートが一般的な手法です。外部データには、店舗の周辺情報や天気、SNS トレンドなど、さまざまなパブリック データがあります。一般的には、サービスとして取得用 API が提供されており、CSV や JSON といった形式で取得できます。こういった生データを Cloud Storage に格納することで、Google Cloud 内で扱いやすくします。Dataflow を使うと、Cloud Storage に格納している CSV データ、JSON データを分析用に加工することができます。Dataflow を介して BigQuery にインポートすることで、顧客データと結合したダッシュボードを作成したり、機械学習のトレーニング データとして活用したりすることができます。

Vertex AI の活用

  • 構造化されたデータ解析には Vertex AI AutoML Tables を使用します。蓄積されたデータを使って機械学習モデルのトレーニングを行い、さまざまな予測をすることができます。

  • 画像分析には、Vision API や AutoML Vision のようなサービスを用いて、棚割りの画像や商品の画像を取り込むことで、在庫の補充のタイミングや、商品のメタ情報をお客様に伝えるのに役立ちます。  
  • 時系列予測では、市場価格やトレンドなどの時系列データを使って機械学習モデルのトレーニングを行い、時系列の予測をすることができます。例えば、ある商品カテゴリの市場における相場価格を予想することで、顧客にとって適切な価格で商品を提供することができます。 

Output ツールの活用

  •  Google Ads や Firebase を利用し、属性データや行動データをもとに、セグメントされた顧客ごとに適したマーケティング 施策を実施することで、潜在的な機会を発掘することができます。
  • Looker を利用することで、機械学習基盤による予測をリアルタイムに確認することが可能です。店舗ごとの売上予測の推移という広い枠組みから、どこの棚の何の商品が空になっているかというスタッフレベルの業務情報まで、画面で確認することができます。

  • Anthos を利用することで、個々の店舗の個々の商品の値段といった、マイクロな領域に機械学習の結果を反映させることができます。これにより、環境や状況の変化に強い店舗を作ることができます。

  • スプレッドシートを利用することで、スタッフのシフトや在庫の状況などの単一のマスタを共有、編集、コメントすることが可能。ミス コミュニケーションの発生を低下させることができます。 

利点

最先端の AI / ML テクノロジーを店舗業務や集客業務に適用

  • 内部 / 外部データの連携:AI / ML × 内外データによる棚割りや商品補充などの業務を最適化できます。

  • デジタル広告連携:AI / ML × デジタル広告により集客を最大化できます。

  • シフトや商品補充業務の最適化から店舗スタッフの働き方改革までを推進し、省力化、および収益を向上できます。  

注意事項

  • 機械学習のためには、モデル開発に適したデータを利用する必要があり、そのためにはデータを事前に加工したりフィルタリングする必要もあります。例えば、データ内の偏りを正規化したり、バイアスを排除する必要があるのかといった前処理に時間がかかる可能性があることも考慮します。
  • 機械学習の予測による精度が高いか、低いかは、状況やニーズに依存するため、単純に数字を見て判断するものではありません。実現することに対して、KPI やゴールを設定する必要があります。またモデル開発は、一度のトレーニングで実現するのは難しいため、トライ アンド エラーでゴールに近づくことを前提にする必要があります。  

参考文献



6 - デジタル活用で顧客への真の価値を提供

ミレニアル世代、Z 世代の台頭や顧客ニーズの多様化に加えて、COVID-19 により社会情勢が刻々と変わるなか、顧客が小売業者に期待する体験価値はさらに変化しています。

カスタマー ジャーニーは、年々複雑化しています。顧客の属性も多様性に富み、一連の購買体験の中では、複数のデバイス、複数のチャネルを横断しながら商品の情報を収集し、気に入った商品を好きなチャネルを介して購入します。

あらゆる顧客とのタッチポイントの情報を収集し、デジタルを活用して真の価値を提供することが、これまで以上に求められています。

解決する課題・使い所

顧客が小売業者に期待する体験やコミュニケーションの多様化

  • 実店舗とオンライン店舗の違いを意識することなく利用する顧客に価値ある体験を提供したい。  

アーキテクチャ

社内外のあらゆる情報を収集し、AI / 機械学数(ML)テクノロジーを活用し、パーソナライズされた顧客体験を提供します。 

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データの取り込み

データを Google Cloud に取り込む方法として、リアルタイムなデータの収集、バッチによるデータの定期的な収集の 2 つの方法があります。

Pub/Sub と Dataflow を使うと、リアルタイムにデータを取り込むことができます。Pub/Sub と Dataflow はネイティブに統合されているため、信頼性が高く高機能な Exactly-once 処理と、Java、Python、SQL でのイベント ストリームの統合が可能になります。リアルタイムにデータを収集することで、カスタマーのインサイトを即座に活用することができます。

外部データの収集を行うには、定期的なバッチ インポートが一般的な手法です。外部データには、店舗の周辺情報や天気、SNS トレンドなど、さまざまなパブリック データがあります。一般的には、サービスとして取得用 API が提供されており、CSV や JSON といった形式で取得できます。こういった生データを Cloud Storage に格納することで、Google Cloud 内で扱いやすくします。Dataflow を使うと、Cloud Storage に格納している CSV データ、JSON データを分析用に加工することができます。Dataflow を介して BigQuery にインポートすることで、顧客データと結合したダッシュボードを作成したり、機械学習のトレーニング データとして活用したりすることができます。

Vertex AI による予測インサイトの活用

構造化されたデータ解析には、Vertex AI AutoML Tables を使用します。蓄積されたデータを使って機械学習モデルのトレーニングを行い、さまざまな予測をすることができます。

スコアリング予測では、各顧客の属性データや行動データをもとに、将来の顧客の行動を予測することができます。予測された行動パターンに応じたセグメントを作成し、セグメントされた顧客ごとに適したアクションを取ることで、予測に基づくマーケティング施策を実施できます。

時系列予測では、市場価格やトレンドなどの時系列データを使って機械学習モデルのトレーニングを行い、時系列で予測をすることができます。例えば、ある商品カテゴリの市場の相場価格を予想することで、顧客にとって適切な価格で商品を提供することができます。

利点

パーソナライズされた顧客体験の提供

  • AI 活用による OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)での顧客行動や購買実績に応じたレコメンデーションが可能です。

  • センチメント / モーメント分析により、顧客理解を深めることで、適切な顧客コミュニケーションが可能です。  

注意事項

  • データソースから収集したデータの加工が必要ない場合、BigQuery Storage Write API を使って直接インポートすることもできます。BigQuery Storage Write API を使う方がコスト効率が良い場合があるので、データ連携の要件と照らし合わせながら連携方法を選択します。

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7 - 顧客起点発想の商品開発

「これが欲しかった」と評価されるような魅力的な商品開発を行うためには、顧客の声や前線にいる従業員の意見を収集し、消費者ニーズを的確に捉えることが大切です。エンド ツー エンドの情報収集から解析、販売データとの比較までを行う基盤を Google Cloud で設計することで、商品開発部門の迅速な意思決定を支援できます。

解決する課題・使い所

マーケットのニーズを捉え、顧客の声を反映した競争力のある新商品を開発

  • 新商品開発に有効な現行商品に対する社内外の評価やフィードバックを正しく迅速に理解したい。

  • 顧客やマーケットのニーズを的確に捉えることで、競争力のある商品を開発したい。

アーキテクチャ

顧客の声や従業員の意見をテキストと音声で収集し、解析して、情報を可視化することで、商品開発部門を支援するための基盤を提供します。  

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テキストデータ、または音声データを構造化データとして収集し、データ ウェアハウス(BigQuery)に保存します。具体的には、次のような方法で、店舗やオンラインでのアクティビティから顧客の生の声を収集します。

  • Google Forms を使ったアンケートを実施し、顧客からの回答や従業員からのフィードバックをスプレッドシートに入力する。

  • Google Chat や Gmail などによる社内のやり取りやメッセージを API で取得する。

  • コールセンターに Contact Center AI(CCAI)を導入し、顧客とのやり取りの音声記録を収集する。

  • 店舗内の顧客と店員の対話の音声記録を収集する。

音声データについては非構造化データになるため、そのままではデータ解析に使用できません。そこで Speech-to-Text API を使用したトランスクリプト(文字起こし)によりテキストデータに変換します。

テキストデータは保存しておくだけではなく、Natural Language API を使うことで、感情分析、エンティティ分析、エンティティ感情分析、コンテンツ分類、構文解析が可能です。分析・解析結果のデータは、テキストデータとは別に格納しておくことで、分析・解析結果の集計などが行えます。例えば、メールのやり取りのポジティブ / ネガティブの集計を行い、感情の割合をダッシュボード化することができます。

利点

 商品開発プロセスに顧客の声や従業員の意見を反映

  • テキスト解析:SNS での顧客の声、アンケートなどを通じた従業員の意見をテキストで収集、解析できます。
  • 音声解析:コールセンターや店舗内での顧客の自然な会話を収集、解析できます。

  • ビジネス インテリジェンス(BI)による意思決定:商品開発に必要なファクトとフォーキャストをデータから可視化できます。  

注意事項

テキストデータをカテゴリ分類する場合、Natural Language API を使った自然言語処理を実施する前に、ルール ベースでの分類ができないか検討します(特定の単語の有無で判別するなど)。ある程度の分類を行ったあと、分類ごとに自然言語処理を実施した方が精度が向上することがあります。 

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8 - エンド ツー エンドのデジタル サプライチェーン

変動する需要に合わせたサプライ チェーンのデータを、エンド ツー エンドで取り扱うためには、発注、在庫、売上といったビジネス プロセスに関わるデータを一元管理することが必要です。サプライ チェーンに関わるデータは膨大であり、またその処理も複雑なものとなるため、信頼性が高いストレージと、スケールするコンピューティング リソースが必要になります。また一元的に集めたデータを、サプライ チェーン上のさまざまなシステムとシームレスに連携し、ユーザーが取り扱いやすいインターフェースを提供することも重要となります。Google Cloud では、サプライ チェーンに関わるデータを、エンド ツー エンドで取り扱うことができ、BI や AI / 機械学習(ML)を活用して、サプライ チェーンに関わるさまざまな課題を解決します。

解決する課題・使い所

サプライ チェーン上のデータを可視化することや、需要や供給の予測の最適化を行うことで、商品の欠品や過剰在庫を解消 

  • サプライ チェーンの各工程や在庫状況のデータを横断的かつリアルタイムに収集し、可視化したい。
  • サプライ チェーンを全体最適化することで、商品の欠品による機会損失を回避し、過剰在庫の保持を解消したい。 

アーキテクチャ

Google Cloud 上にデータ基盤を構築することで、デジタル サプライ チェーン化(サプライ チェーン上の機会損失防止と過剰在庫の最小化)を実現します。 

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サプライ チェーンに関する、すべてのデータを Google Cloud に集約して一元管理します。データを Google Cloud に集約するための方法は、大きく 3 つあります。1 つ目は、Apigee によりデータ連携用の API を提供し、データ提供元から API を経由してデータを受け取る方法です。

2 つ目は、Cloud Data Fusion を利用して、オンプレミス上のサプライ チェーン関連システムからデータを収集する方法です。Cloud Data Fusion は、バッチ ベースのデータ処理にも、リアルタイムのデータ処理にも対応しており、さまざまなデータソースに対する豊富なコネクタやプラグインを提供しているため、要件に合わせた柔軟なデータ パイプラインを構築することが可能となります。

3 つ目は、Analytics Hub を利用した BigQuery 上でのデータ共有です。データ提供元も BigQuery を利用していることが前提となりますが、不必要なデータのコピーをすることなく、必要なデータをセキュアに取得することが可能です。BigQuery にデータを集約することで、さまざまなアクションが可能です。例えば、ビジネス インテリジェンス(BI)ソフトウェアの Looker を利用することで、データを可視化するだけでなく、Lookerが連携しているツールに対してデータに基づいたアクションが可能です。例えば、Looker 上で可視化しているデータに何らかの異常値が発見された場合(例えば予期せぬタイミングで欠品が発生した、発生しそうという状況が確認されたなど)、連携してるチャット ツールやメール サービスを利用して通知することができます。また、Vertex AI を利用することで、機械学習をベースとした需要予測のモデルを構築することも可能です。このように、BigQuery の高いスケーラビリティとその周辺にあるデータ分析に関わるエコ システムを活用し、サプライ チェーンに関わる典型的な課題であるデータ環境のサイロ化を解消して、エンド ツーエンドでのサプライ チェーンの最適化を実現することで、データドリブンなサプライ チェーン基盤を実現できます。  

利点

デジタル サプライ チェーンによるリアルタイムな在庫管理と精度の高い需要予測

  • サプライ チェーンのデジタル化により、サプライ チェーンの各工程で発生するデータの一元管理によるデータのサイロ化を解消します。

  • 集約されたデータの可視化とデータドリブンなアクションを実現します。

  • サプライヤーなどの関係する組織とのセキュアなデータ共有を実現します。

  • AI / ML 技術を活用した需要予測モデルの構築による在庫管理や受発注プロセスの改善を可能にします。  

注意事項

  • Google Cloud 上にデータを集約するためには、データ提供元のシステムに変更が必要な場合があります。また、セキュリティやネットワーク要件について精査し、必要に応じて追加開発を行います。 
  • Vertex AI を活用した需要予測モデルの構築には、モデルの構築自体に高度な AI / ML の知識は不要ですが、構築されたモデルの有用性を業務に照らし合わせてユーザー側で評価する必要があります。 

このパターンで作成された事例

関係するデザイン パターン

参考文献